Japanese
English
特集 急性肺塞栓症の最新の知見
急性肺塞栓症の最新の予防法
Prevention of Acute Pulmonary Embolism
坂巻 文雄
1
Fumio Sakamaki
1
1東京都済生会中央病院呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Tokyo Saiseikai Central Hospital
pp.711-717
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100580
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
急性肺血栓塞栓症(acute pulmonary thromboembolism:APE)は多くの場合,体静脈(主として下肢深部静脈)にできた血栓が遊離して静脈系血流に乗って肺動脈を閉塞することで生じる.最近ではAPEおよび深部静脈血栓症(deepvein thrombosis:DVT)を総括して静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)と呼称する.欧米では以前からVTEはありふれた疾患であり,早くから予防の重要性が認識されていたが,本邦ではやや立ち遅れていた感があった.しかし近年,発生頻度が考えられていたよりはるかに多いこと,しかも最近10年間で急増していることがわかってきた1).高齢・肥満人口の増加,食生活の欧米化,長時間座位旅行の増加,入院・大規模手術の増加などが関与していると思われる.
本稿では,APEを含むVTEの予防法につき,最近のガイドラインを紹介しつつ,最新の薬物療法についてもふれる.なお予防法という場合,発症そのものの予防である一次予防と,一旦発症した症例の再発防止のための二次予防があるが,本稿では一次予防を中心に述べる.二次予防における下大静脈フィルターについては別項で詳述されるので参照されたい.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.