Japanese
English
特集 自然免疫と肺
呼吸器感染制御における自然免疫とリンパ球
Role of Innate Immune Lymphocytes in the Host Defense to Infectious Pathogens in Lung
川上 和義
1
Kazuyoshi Kawakami
1
1東北大学医学部保健学科検査技術科学専攻基礎検査学講座病原検査学分野
1Department of Microbiology and Immunology, School of Health Science, Faculty of Medicine, Tohoku University
pp.369-376
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100563
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
リンパ球には,通常のT,B細胞の他に,natural killer(NK)細胞,NK T細胞,γδT細胞,B1-B細胞,marginal zone(MZ)-B細胞の存在が知られている.これらの細胞群は非常に速やかに活性化され,自然免疫の時期に機能するという意味で自然免疫リンパ球と呼ばれ,近年,腫瘍,アレルギー,自己免疫疾患,感染症など各種免疫応答における役割が注目され,盛んに研究されるようになってきた.これらの細胞は時間単位で速やかに初期刺激に対して反応できるかわりに,通常のT,B細胞に比べ応答能が弱いことから,これまでは獲得免疫が成立するまでの「繋ぎ」の役割を担うものと理解されていた.しかし,近年の多くの研究から,自然免疫リンパ球がTh1-Th2バランスなど,獲得免疫の「質」までも決定する可能性が報告されるにつれ,改めてその役割について注目されるようになってきた.
本稿では,肺内での感染防御免疫応答における自然免疫リンパ球,特にNKT細胞およびγδT細胞の役割について,マウスの肺感染モデルを用いたわれわれの研究結果を紹介しながら概説していきたい.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.