Japanese
English
特集 免疫系の情報識別
総説
リンパ球の増殖と分化の制御
Regulation of lymphocyte growth and differentiation
難波 雄二郎
1
Yujiro Namba
1
1京都大学ウイルス研究所病理部
pp.125-130
発行日 1980年4月15日
Published Date 1980/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903379
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
ClamanやMillerらによってリンパ球が抗体産生細胞系(B細胞系)とその増殖分化を助ける細胞系(T細胞系)とにわかれている事が明らかにされて以来,我々の免疫系に対する理解は飛躍的な発展を遂げた1,2)。B細胞系に対するT細胞系の機能は,当初B細胞系の増殖分化を促進すること(ヘルパー機能)のみだと考えられていたが,多田やWaksmanらの研究によってある条件下では抗体産生を抑制する機能が存在することが明らかにされ,T細胞系のB細胞系への働きかけ(T-Binteraction)のしくみが多元的であり,T細胞系が生体の免疫応答(immune response)を調節する主役であることが明らかになった。
さらにCanterやAsofskyらによって,異なる機能を荷ったT細胞間での相互作用(T-T interaction)が存在することが明らかにされ3,4),生体の免疫系はこれら異なる機能を持ったリンパ球のネットワークによって成り立っている事が次第に明らかになってきた。リンパ球は抗原を認識した後,これらの細胞間相互作用によって,コントロールされながら抗体産生細胞あるいは細胞性免疫をになう細胞に増殖分化するわけで,本稿ではこれらの制御機構について記述したい。
Copyright © 1980, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.