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心臓CTをめぐる最近1年間の話題
1998年に多列型検出器(multidetector-row CT;MDCT)が開発され,検出器列を体軸方向に複数配置することで1回の回転で複数の画像データが収集可能となり,体軸(Z軸)方向の分解能が飛躍的に向上し,薄いスライスで広い範囲を短時間で撮像できるようになった.これによりZ軸方向とXY軸方向の分解能とほぼ等しいいわゆる等方性ボクセルが得られるようになり,CTで得られたデータから任意の断面で1mm以下の分解能を有する高精細な画像を取得できるようになった.MDCT開発当初の検出器列は4列であったが,その後,短期間のうちに急速に多列化が進み,2002年には16列,2004年には64列の検出器列を有する機器が発売され,現在に至っている.心臓領域では特に16列への進歩が画期的であり,16列MDCTの出現により心臓全体を0.5~0.6mmの厚さでスキャンすることが一般的に可能となり,CTによる心臓の画像診断が広く行われるようになった.
64列と16列MDCTでは空間分解能に差はなく,得られる画像の精細さは両者ともほぼ同等である.両者の大きな違いは撮像時間の大幅な短縮である.16列MDCTでは心電図同期下に心全体をスキャンするには20秒から30秒を要する.このため長時間の呼吸停止を必要とし,その間の心拍変動や呼吸停止不良,期外収縮などによりアーチファクトが出現しやすく,質の高い画像を安定して得るためには様々な工夫が必要であった.64列MDCTでは心電図同期下に5~10秒で心全体をスキャンすることができるようになり,長時間の息止めを必要としなくなった.このため長時間の息止めに伴う影響を受けにくく,質の高い画像を安定して得られるようになったことが16列MDCTとの大きな違いである.
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