Japanese
English
特集 呼吸器疾患のバイオマーカー
呼気ガス分析
Exhaled Gas Analysis
山縣 俊之
1
,
一ノ瀬 正和
1
Toshiyuki Yamagata
1
,
Masakazu Ichinose
1
1和歌山県立医科大学内科学第三講座
1Third Department of Internal Medicine, Wakayama Medical University, School of Medicine
pp.591-598
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100402
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はじめに
気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD),間質性肺炎などの炎症性肺疾患の病態解明には,従来,切除肺組織,気管支鏡下生検,気管支肺胞洗浄液などの手法が用いられてきた.しかし,これらの方法では得られる情報は多いものの,侵襲性が高く,繰り返しての評価が難しいため,一般臨床における診断やモニタリングへの応用は困難である.最近では比較的侵襲性の低い誘発喀痰による評価法も広く行われているが,高張食塩水の吸入による刺激がある点,重症患者では施行が難しい点,採取後の処理や解析が煩雑な点,などの問題から,やはり日常臨床への応用は難しい.
一方,近年,ほとんど侵襲を伴わずに気道・肺の炎症を評価する方法として,呼気ガス中の揮発性ガス分子を測定する方法が行われるようになり,その有用性についての報告が多く認められる.本稿では呼気ガスを用いた炎症性肺疾患の評価について,その原理や測定法,病態との関連などを概説する.
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