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Bedside Teaching
冠動脈造影の撮り方と読み方(3)―慢性完全閉塞病変
The Strategy of Coronary Artery Angiography from Basis to Application
岡部 輝雄
1
,
朝倉 靖
1
Teruo Okabe
1
,
Yasushi Asakura
1
1慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科
1Department of Internal Medicine, Keio University School of Medicine
pp.1273-1277
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100394
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はじめに
これまで,通常の冠動脈狭窄病変に対するPCIを前提とした造影について述べてきた.前号までに述べた原則論は冠動脈造影を行ううえでの必要条件であり,場面に適した応用がなければ十分とはならない.その意味で,撮影上最も工夫と応用を要求されるのが慢性完全閉塞病変(CTO)の造影である.周知のごとく,CTOの存在はPCIの成功率を悪化させる代表病変である.その理由として,治療手技上の難易度が高いことは言うまでもない.しかし多くの場合,それ以前に冠動脈造影の結果を正しく読影できていない,十分な造影情報の収集ができていないなど,基本的な原因により治療手技をさらに困難なものにしている.通常の狭窄病変以上に,撮影したシネフィルムを詳細に観察することが,CTO病変では要求される.われわれの施設では,撮影したフィルムを通常速度,そしてゆっくりとした速度で読影した後,さらにコマ送りにより全フレームを一コマ一コマ観察するよう心掛けている.読影に際し多くの時間を費やすことになるが,こうすることで潜在していた情報を明確にすることができ,結果的にPCIの治療成績を著明に向上させることが可能となるのである.
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