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特集 冠動脈病変の画像診断―CT,MRIは冠動脈造影にどこまで迫れるか
核医学的手法を用いた動脈硬化巣の画像化の可能性
Vulnerable Plaque Imaging by Radionuclide Technique
玉木 長良
1
,
森田 浩一
1
,
竹井 俊樹
1
,
久下 裕司
1
Nagara Tamaki
1
,
Koichi Morita
1
,
Toshiki Takei
1
,
Yuji Hisashita
1
1北海道大学大学院医学研究科・核医学
1Department of Nuclear Medicine, Hokkaido University School of Medicine
pp.703-707
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100327
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はじめに
虚血性心疾患の診断には,冠動脈造影などの検査にて冠動脈狭窄の病変を検出することが広く行われている.ただ最近の知見では,冠動脈狭窄病変がなくても,小さな冠動脈プラークにより心筋梗塞が生じることが知られるようになった.とりわけリスクの高い不安定なプラーク病変の検出が予後推定や治療方針の決定などの点で注目されている.また,これが可能となれば種々の治療により不安定プラークの安定化が図られるか否かに関しても重要な情報が得られる可能性がある.
不安定プラークの検出には超音波内視鏡や血管内超音波(IVUS)などが用いられ,プラークの組織性状から不安定性の診断がされている.それに対してCTやMRIなど高解像力をもつ非侵襲的な画像診断法にも期待が寄せられている.
他方,核医学検査は空間解像力ではCT,MRIや超音波断層法に比べると格段に劣るが,最適なトレーサを用いて組織の分子,細胞機能を映像化できるため,組織性状の把握には有利である.血管内の血栓の形成についての研究はこの数年急速に進歩しており,この分子生物学的情報をトレーサとして用いる基礎研究も同時に進んでいる.これまでは主に動脈硬化モデル動物を用いた基礎的な研究が主であるが,最近ではPET検査による臨床例での報告も散見されるようになっている.
ここでは核医学的手法を用いた動脈硬化病変の画像化についての最近の知見を述べたい.
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