研究と報告
脳動脈硬化の臨床—脳病理学的巣症状を中心として
山本 達也
1
,
前川 杏二
2
1東京大学医学部脳研究所
2東京大学医学部精神医学教室
pp.333-339
発行日 1960年6月15日
Published Date 1960/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200222
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脳動脈硬化ないし脳卒中にさいして,失語,失行,失認などの,いわゆる脳病理学的巣症状がしばしばあらわれ,しかもとくに関心の深い精神医学者の手によつて,その構造が詳細に分析された報告の少くないのは周知のことである。ところでこの巣症状の他の側面,すなわち,基礎疾患である脳動脈硬化によつてひき起こされる全体的な精神神経障害のなかで,巣症状患者の示す特徴を明らかにすることができるならば,脳血管障害の問題にとつてまた1つの示唆をうることができるであろう。そこで今回,種々の精神神経症状を指標として,脳動脈硬化のなかにおける巣症状をもつ症例の位置づけを試みたわけである。
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