巻頭言
立ち止まって考えたこと
相澤 久道
1
1久留米大学医学部第一内科
pp.665
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100328
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二十年程前に喘息の研究をしようと思った時,私たちの教室には,肺生理,免疫,病理の三つの研究室があったが,何となく喘息はアレルギー疾患だからやはり免疫研究室で研究するのかなと思っていた.ところが,その年に故瀧島任先生が中心になり「気道過敏性研究会」という新しい研究会が発足し,偶然その第2回目から参加させてもらえることになった.この研究会は喘息患者に共通した病態生理異常は気道の反応性の亢進であるという観点から喘息の発症機序を研究するものであった.それまで,自分にはそういう視点はなかったので,これは喘息という病気の全体を説明できる非常に合理的な考え方だとすっかり感心し,それから今日まで気道過敏性というキーワードで生理学的な研究を続けてきた.
喘息は単一の原因で起こる疾患ではなく,当時でも非常に多くの立場からの研究が行われていた.しかし当然のことながら,この病気全てを説明できるような成績はなかった.このような多因子性の疾患を考える時には,どの患者であっても発症までに必ず通過する共通の経路が重要であり,そこに気道過敏性が存在した.そこで,この気道過敏性を抑えればどのようなタイプの喘息患者であっても,発作を起こりにくくすることが出来るはずである.
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