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特集 冠動脈病変の画像診断―CT,MRIは冠動脈造影にどこまで迫れるか
CT/MRIで冠動脈がどこまで見える―MRA
Coronary MR Angiography
佐久間 肇
1
,
竹田 寛
1
,
中野 赳
2
Hajime Sakuma
1
,
Hiroshi Takeda
1
,
Takeshi Nakano
2
1三重大学医学部放射線科
2三重大学医学部第一内科
1Department of Radiology, Mie University Faculty of Medicine
2First Department of Internal Medicine, Mie University Faculty of Medicine
pp.677-685
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100324
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はじめに
冠動脈病変の診断には,カテーテルによるX線冠動脈造影が用いられている.X線冠動脈造影検査は手技も確立され,外来検査とし実施することも可能である.しかし,冠動脈造影に伴う重篤な合併症や死亡のリスクは,かなり低いとはいってもゼロではない.MRIやCTによる非侵襲的冠動脈イメージングが確立されれば,冠動脈狭窄病変を除外診断して不要な冠動脈造影検査を減らし,合併症のリスクと医療コストを低減できる可能性がある.また,MRIやCTによる冠動脈イメージングは,通常は冠動脈造影の適応とならない冠動脈疾患低~中リスクの症例において冠動脈病変をスクリーニングできる利点がある.
非侵襲的冠動脈イメージングの領域では,造影マルチスライスCTに大きな関心が集まっている.冠動脈MRアンギオグラフィー(MRA)にはCTによるアプローチと比較して(1)放射線被曝がない,(2)心拍内の時間分解能が良好であり,拍動によるぶれの影響が少ない,(3)冠動脈高度石灰化症例でも狭窄内腔の描出が妨げられない,(4)造影剤を用いないMRA撮影も可能,などの利点がある.しかし,従来の冠動脈MRAの撮影には手間と時間がかかり,冠動脈遠位部の描出能も不十分であったため,臨床利用は限られていた.最近になって,whole heart coronary MRAと呼ばれる撮影法が開発され,冠動脈MRAは新しい展開を遂げようとしている.
本稿では,冠動脈MRAの撮影方法,これまでの報告におけるMRAの診断的有用性,whole heart coronary MRAを含む心臓MRIの現状と将来展望について解説する.
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