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特集 冠動脈病変の画像診断―CT,MRIは冠動脈造影にどこまで迫れるか
MRIによる冠動脈病変の評価
Non-invasive Magnetic Resonance Evaluation of Coronary Artery Plaques
樅山 幸彦
1
Yukihiko Momiyama
1
1防衛医科大学校第一内科
1First Department of Internal Medicine, National Defense Medical College
pp.687-692
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100325
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はじめに
心筋梗塞の多くは不安定プラークの破綻とそれに続く血栓形成によって発症する.不安定プラークは脂質やマクロファージに富む大きな脂質コア(lipid core)とそれを覆う薄い線維性被膜(fibrous cap)から成るが,狭窄度はむしろ軽度のことが多い.冠動脈疾患診断のgolden standardである冠動脈造影は侵襲的検査であり,狭窄度と病変の形状のみを評価しうる.血管内超音波を併用することによって,プラークの性状評価はある程度可能となるが,適応病変は有意狭窄病変に限られることが多い.冠動脈全体に分布しうるプラークの性状を非侵襲的に評価しうる画像診断法の開発は臨床上有用であり,急性冠症候群の病態の認識を深めるとともにプラーク破綻の危険が高い例では適切な処置をとることも可能になる.
近年,CTの進歩は著しく,16列マルチスライスCTで心臓を撮像すると1回の呼吸停止で冠動脈全体を描出しうる.CTアンギオによる冠動脈疾患の診断精度は感度,特異度ともに90%を超し,MRIより近い将来冠動脈造影に取って代わるか多くの例で冠動脈造影を省略可能にすると期待されている.しかし,プラークの性状診断については,CT値を計測することである程度可能とされるが,実際には異なる組織でもCT値が近い値を示すために厳密には困難とされる.さらに石灰化を伴う病変では石灰化によるアーチファクトのためにいっそう困難になる.
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