Japanese
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特集 睡眠呼吸障害の新展開と展望
睡眠呼吸障害と炎症マーカーおよび動脈硬化関連物質
Inflammatory Markers and Atherogenic Substances in Patients with Sleep Disturbed Breathing
寺本 信嗣
1
,
山本 寛
1
,
山口 泰弘
1
Shinji Teramoto
1
,
Hiroshi Yamamoto
1
,
Yasuhiro Yamaguchi
1
1東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座
1Department of Geriatrics, Graduate of Medicine and Faculty of Medicine, The University of Tokyo
pp.355-361
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100281
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はじめに
近年,睡眠呼吸障害の代表的疾患である睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome,SAS)は,呼吸や睡眠の疾患としてだけではなく動脈硬化の原因として,またMetabolic syndromeという全身性疾患としても注目されている1~5).米国では10年以上前の1993年に睡眠障害調査研究委員会が「WakeUpAmerica」という報告書を議会に提出し,睡眠呼吸障害の医療費への影響を明らかにしている6).この報告では,4,000万人の睡眠障害患者の約半数はSAS患者であり,このSASに159億USドルの医療費が必要であり,SAS患者では高血圧が2倍,心疾患が3倍,脳血管疾患が4倍増加するとした.さらに,1999年よりNIHを中心にThe Sleep Heart Health Study(SHHS)という前向き研究が開始されており,SASと高血圧との関連を検証するのではなく,その次の段階である心臓・脳血管障害性イベントの発症との関連が検討されている.つまり,SASが肥満とは独立した高血圧の危険因子であることはすでに確立されており,SASが他のリスクファクターと独立して生活習慣病の危険因子になるかどうかの検証が行われている.
本稿では,SASを中心とする睡眠呼吸障害と炎症マーカー,動脈硬化関連物質との関連について解説した.
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