特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター
Ⅱ.病原体をマスターする
1.細菌・原虫感染症
4)インフルエンザ桿菌
菅原 一真
1
,
山下 裕司
1
1山口大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科学分野
pp.88-90
発行日 2011年4月30日
Published Date 2011/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101823
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Ⅰ 一般的特徴(疫学,分類など)
1889年,1890年のインフルエンザの世界的大流行の際,患者の咽頭から分離され,1892年,Richard Pfeifferが同定したのが最初とされる。当初はインフルエンザの病原体として報告されたが,後にインフルエンザの病原体がインフルエンザウイルスであることが明らかにされたため,発見の歴史をその名に残し,インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)と命名された。
インフルエンザ菌はそのポリサッカライド莢膜多糖体の抗原性より,6つの血清型(a~f)に分類される。また,ポリサッカライド抗原をもたない株は無莢膜型(nontypable)と呼ばれ,分離頻度は最も高い。臨床的に重要となるのはtype b(Hib)と無莢膜型とされる。また,生物学的性状(インドール産生性,ウレアーゼ産生性,オルニチン脱炭酸能)による生物型別の分類では,Ⅰ型~Ⅷ型の8種類に分類される。Hibの大部分はⅠ型であり,無莢膜型の大部分はⅡ,Ⅲ型に分類される1)。
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