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特集 循環器疾患の予防医学
予防医学としての高血圧治療の実際
Practice of Hypertension:a preventive medicine
今井 潤
1
Yutaka Imai
1
1東北大学大学院薬学・医学系(併)研究科臨床薬理学
1Department of Clinical Pharmacology and Therapeutics, Tohoku University Graduate School of Medicine and Pharmaceutical Science
pp.41-49
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100235
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序
高血圧診療は予防医学(Preventive Medicine)である.この予防医学としての高血圧医療には二つの意味がある.通常われわれが考える予防医学としての高血圧診療は,脳卒中,虚血性心疾患の一次予防,二次予防としてのそれであるが,もう一つの大切な視点は高血圧の発症を未然に防ぐという高血圧の一次予防医療である.
1950年代からの降圧薬の開発の進歩は,高血圧治療学の著しい進歩として具現化され,今日治療医学としての高血圧診療は,ある意味ではピークに達した感さえある(図1).しかしながら本態性高血圧は多因子疾患であり,遺伝と環境の複雑な相互関係によりもたらされることから,高血圧の一次予防はままならない.しかし高血圧の一次予防は,高血圧医療の究極の目的であり,近年のJNC-VII1),ESH-ESCガイドライン2),WHO-ISHガイドライン3)は,いずれも一次予防医療としての高血圧医療が,今更のように大きくクローズアップされている.
本稿においては,高血圧の一次予防,および脳心血管疾患の一次・二次予防としての高血圧診療に焦点を集め論を進める.
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