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Current Opinion
高血圧の循環器リスク―腎機能を中心に
Cardiovascular Risk in Hypertension: Renal aspect
伊藤 貞嘉
1
Sadayoshi Ito
1
1東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座腎・高血圧・内分泌学分野
1Department of Nephrology, Endocrinology and Vascular Medicine, Tohoku University School of Medicine
pp.545-549
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100213
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高血圧の循環器リスクをめぐる最近1年間の話題
1 心血管病のリスクとしての腎機能障害
最近,中程度腎機能障害患者で心血管疾患の発症率やそれによる死亡率が高いことが示された1).従来腎機能の評価には血清クレアチニン値が広く用いられているが,この値は筋肉量によって左右され,高齢者では血清クレアチニン値が基準値内でも糸球体濾過値(GFR)が低下していることがしばしばみられる.したがって,腎機能の評価に当たっては血清クレアチニン値,体重,年齢,性別からGFRを推定して腎機能の評価をすることが推奨されている1).代表的なGFR推定の計算式を表1に示す.こうして求められた推定GFRと生存率との関係が心不全,心筋梗塞患者,高齢者や一般住民で検討され,推定GFRが60ml/分未満では生存率が有意に低くなることが明らかとなった1,2).
蛋白尿は末期腎不全発症のリスクであるとともに心血管事故死の強力な危険因子である.最近では微量アルブミン尿さえも心血管および非心血管死のリスクであることが糖尿病患者,高血圧患者や一般住民を対象とした疫学研究で報告されている.
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