Japanese
English
特集 呼吸器疾患におけるアポトーシスの最新知見
肺癌の進展・治療におけるアポトーシスの重要性
Importance of Apoptosis in Progression and Therapy of Lung Cancer
田中 文啓
1,2
,
和田 洋巳
1
Fumihiro Tanaka
1,2
,
Hiromi Wada
1
1京都大学大学院医学研究科器官外科学呼吸器外科
2現:兵庫医科大学呼吸器外科
1Department of Thoracic Surgery, Kyoto University Graduate School of Medicine
2Department of Thoracic Surgery, Hyogo College of Medicine
pp.27-33
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100139
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
アポトーシス(apoptosis)は,もともと“クロマチン凝集・核の断片化”といった壊死(necrosis)とは異なる形態学的特徴を示す細胞死として定義された1,2)(図1).その後の検討により,アポトーシスは生体にとって不要または有害な細胞を排除して恒常性を維持するために重要な役割を果たしていることが示された.すなわち,細胞のDNAが損傷を受けた場合にはDNAの修復が試みられるが,修復できないほどのDNA損傷を有する細胞はアポトーシスにより生体から除去される.したがって,アポトーシスの機構に異常が生じると,DNA損傷を有する細胞は生体から除去されず,悪性腫瘍の発生につながる.アポトーシスの実行と制御には多くの分子が複雑に関与しており,これらの異常が発癌や癌の進展の要因となりうると同時に,また癌治療の標的ともなりうる2).
本稿では,肺癌の進展および治療におけるアポトーシスの意義について臨床家の立場から概説する.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.