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はじめに
最近,抗感冒薬や鎮咳薬に抵抗する慢性咳嗽に苦しむ患者が増えてきており,肺に明らかな病変がない場合に内科から耳鼻咽喉科に紹介されて来ることが多くなってきた.こうしたなかで,われわれ耳鼻咽喉科医も慢性咳嗽を来す諸疾患に精通していなければならない.耳鼻咽喉科医が持続する咳を診察するにあたり最も重要なことは,やはり咳の原因となる肺疾患が確実に否定されていることである.咳の原因となる明らかな肺疾患は,肺癌,肺・気管支結核,肺線維症,気管支拡張症などである.しかし,問題はこのように明らかな肺病変を呈することなく持続性咳嗽を来す疾患の存在である.それらは,慢性気管支炎,喘息,咳喘息(cough variant asthma:CVA)1),アトピー咳嗽(atopic cough:AC)2),アレルギー性気管支炎(allergic bronchitis)3),非喘息性好酸球性気管支炎(eosinophilic bronchitis without asthma:EB)4),かぜ症候群後遷延性咳嗽(post-infectious prolonged cough:PIPC)5)などである.このほかにも呼吸器疾患ではないが,薬剤[ACE阻害薬]誘発性咳嗽(drug induced cough)6),心因性・習慣性咳嗽(psychogenic cough)[咳チック]7)などとの鑑別が必要である.
さて,これらの疾患が除外されたとして,耳鼻咽喉科医が扱う持続性咳嗽の原因で重要な疾患は後鼻漏症候群(post-nasal drip syndrome:PNDS)8),喉頭アレルギー(laryngealallergy)9,10),胃食道逆流症(gastro-esophagealrefluxdisease:GERD)11),X線透過性気管支異物12)などである.本稿ではこれらのうちアレルギーが関与する喉頭アレルギーと後鼻漏症候群(アレルギー性鼻炎を含む)の2疾患について紹介する.
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