Japanese
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特集 耳鼻咽喉科における心因性疾患とその対応
7.心因性咳嗽
7.Psychogenic cough
内藤 健晴
1
Kensei Naito
1
1藤田保健衛生大学耳鼻咽喉科
pp.953-956
発行日 2010年12月20日
Published Date 2010/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101721
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Ⅰ.はじめに
耳鼻咽喉科医が日常診療で慢性咳嗽の患者を診ることは稀ではない。慢性嗽咳は鑑別疾患が多く,特に当領域においては喉頭アレルギー,後鼻漏,咽喉頭逆流症が重要な原因として挙げられる1)。一方,慢性の咳を診察するうえで,上気道(喉頭癌,下咽頭癌など)や下気道(肺癌,肺結核,間質性肺炎など)の重篤な疾患を原因として見逃してはならない。肺に明確な陰影を呈さない下気道原因疾患で頻度が高いのは,喘息,咳喘息,アトピー咳嗽である。そのほか,薬剤誘発性咳嗽,かぜ症候群後遷延性咳嗽,X線透過性気道異物の存在も忘れてはならない。これらが否定され,単純な乾性咳嗽ではなく特徴的な咳を呈し,生活環境に原因となる問題があれば,心因性咳嗽(psychogenic cough)を考慮することになる。心因性咳嗽は診断が難しくホスピタルショッピングの原因となっており,また,一般医,呼吸器内科医,耳鼻咽喉科医では治療に難渋することがあるので状況によっては早期に専門医へ依頼するなど,診療上の取り扱いに注意を要する。
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