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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
疾患
胃
ラズベリー様腺窩上皮型胃腫瘍
foveolar-type gastric neoplasia with raspberry-like appearance in Helicobacter pylori-naïve gastric mucosa
柴垣 広太郎
1
,
三代 剛
2
1島根大学医学部附属病院光学医療診療部
2雲南市立病院内科
キーワード:
上方発育主体
,
ラズベリー様の小隆起
,
乳頭状または脳回様構造
,
拡張した血管
Keyword:
上方発育主体
,
ラズベリー様の小隆起
,
乳頭状または脳回様構造
,
拡張した血管
pp.620
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202805
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腺窩上皮型胃腫瘍は,腺窩上皮細胞への分化を示す胃型形質の胃上皮性腫瘍である.腫瘍が腺窩上皮細胞に類似した腫瘍細胞で構成され,かつ/またはMUC5AC主体の胃型形質を発現する場合,“腺窩上皮型”と診断される.上方発育主体の腫瘍であり,H. pylori(Helicobacter pylori)既感染胃では粗大な発赤調隆起を,未感染胃では主にラズベリー様の小隆起を呈することが多い1).
ラズベリー様腺窩上皮型胃腫瘍は,H. pylori未感染胃の胃体部大彎と胃穹窿部に好発し,症例の約20%が多発性である(2〜4個).平均3mmほどの発赤した小隆起で,色調に注目して観察すれば発見は難しくない(Fig.1).NBI併用拡大観察では乳頭状または脳回様構造を呈し,広い窩間部に拡張した血管が視認される場合が多い.病理組織学的には乳頭状に増生する腫瘍腺管を認め,腫瘍細胞はmucin capと概ね基底層に並ぶ核を持ち,low-grade dysplasia相当の病変が多く,high-gradeでも間質浸潤を伴うことはほぼない.免疫組織化学染色では,MUC5ACが強陽性,MUC6はほぼ陰性,MUC2/CD10は陰性で,胃型(腺窩上皮型)形質を示す2).胃型腫瘍の潜在的な悪性度から,本邦では癌と診断されることも多いが,WHO分類(2019)ではfoveolar-type adenomaである.
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