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胃底腺型胃癌はH. pylori未感染胃癌(分化型腺癌)の一つであり,病理組織学的に胃底腺型腺癌と腺窩上皮への分化も示す胃底腺粘膜型腺癌に分類され,おのおのの特徴が明らかになってきた1)2).胃底腺型腺癌は一般的には異型度,悪性度は低く,頸部粘液腺〜胃底腺への分化のみを示す分化型腺癌であり,表層は非腫瘍性粘膜に覆われる.胃底腺への分化に加え腺窩上皮への分化も示す胃底腺粘膜型腺癌は,胃底腺型腺癌に比較して悪性度が高く,腺窩上皮型の腺癌が表層に露出する.
胃底腺型腺癌の白色光観察での内視鏡的特徴として,①上皮下・粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)様の隆起,②白色調・褪色調,③拡張した樹枝状の血管,④背景粘膜に萎縮性変化を認めない(Fig.1a)3),NBI併用拡大観察での内視鏡的特徴として,①明瞭なDL(demarcation line)なし,②腺開口部(crypt opening ; CO)の開大,③窩間部(intervening part ; IP)の開大,④ irregularityに乏しい微小血管(Fig.1b)3)が挙げられる4).胃底腺粘膜型腺癌は,前述の特徴を伴わないことが多く,胃底腺型腺癌に比較して腫瘍径は大きく,表層に腺窩上皮型の癌成分が存在していることから,境界が比較的明瞭であり,表面構造の凹凸や不整さが強い印象がある(Fig.2a)4).また,胃底腺粘膜型腺癌は,色調や形態に多様性があることが判明しており,今後,さらに症例を集積する必要がある.胃底腺型腺癌の表層は基本的には非腫瘍性粘膜で覆われるため,NBI併用拡大観察では癌と診断することが困難な症例が多い.胃底腺粘膜型腺癌は表層に腺窩上皮型の低異型度癌が露出していることが多いため,癌と診断することが可能であるが,症例によっては表層の癌成分の異型度が低かったり,癌成分と非腫瘍成分が混在していたりするため,注意が必要である(Fig.2b)4).
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