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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
画像所見
胃:白色光通常観察
萎縮性胃炎
atrophic gastritis
五十嵐 公洋
1
,
長南 明道
2
1仙台厚生病院消化器内科
2仙石病院消化器内科
pp.535
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202738
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古くは1920年代のSchindlerらによる内視鏡的胃炎の研究から,本邦では1969年に木村・竹本らにより内視鏡的萎縮移行帯の概念が提唱され,今なお臨床では広く用いられている.国際的にはUpdated Sydney systemが普及しているが,生検組織が必要であること,東アジア型以外のH. pylori(Helicobacter pylori)では萎縮を来すリスクが少なく,同分類では詳細な萎縮の範囲は規定されていないことなどから国内ではあまり普及していない.これらの状況を踏まえ,2014年には「胃炎の京都分類」が提唱され,2018年にはその改訂版が出版された.
萎縮性胃炎では,H. pyloriの感染をはじめとする化学的・物理的刺激によって,粘膜固有層への炎症細胞浸潤が慢性的に起こり,固有腺が減少・消失する.実臨床における胃炎の大半はH. pyloriに由来する萎縮性胃炎であり,萎縮は幽門腺領域より始まり胃底腺領域の小彎から口側や大彎方向へと拡大していく.萎縮粘膜と非萎縮粘膜の境界は萎縮境界線と呼ばれ,正常の胃底腺が連続性に認められる限界線をF境界線,胃底腺粘膜が巣状に出現する領域の限界線をf境界線,その間を中間帯(萎縮移行帯)と言い,内視鏡的な萎縮は主としてF境界線で判断される.f境界線より遠位の萎縮粘膜では,血管透見像や大彎のひだ消失が認められる(Fig.1).
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