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本特集号は近年増加の著しい潰瘍性大腸炎(UC)の長期経過例に伴うUC関連腫瘍(UC associated neoplasia ; UCAN)の内視鏡治療の可能性,適応とその是非について特集した.本号を読むにあたり,まずは本号企画の背景を田中信治先生の序説で理解した後,次は変則的ではあるが,世界におけるUCANの定義・取り扱いの現状について理解するために,主題関連研究の松本論文「潰瘍性大腸炎に対するサーベイランス—SCENIC international consensus statementの概要と問題点」を先に読み,その後に主題論文などへと読み進めることをお勧めしたい.多くの著者がSCENICのstatementを引用しながら論理を展開しているため,SCENICのstatementの内容を十分理解したうえで主題論文に入るほうが本号全体の内容が理解しやすくなると思われる.
さて,UCANの内視鏡治療に関する問題点として,①DALMではないflatなdysplasia,Tisの発見/診断が極めて困難であること(invisibleとされてきた),②発見された病変が,内視鏡的切除してよい病変か?すなわち,sporadicな腫瘍とdysplasiaの鑑別が困難である,dysplasiaは多発する,限局した内視鏡的切除可能なdysplasiaと診断しても表層分化のために表面の異型は乏しいが既に深部浸潤癌である場合があり,(NBI)拡大内視鏡でもその診断が困難であること,③発見された主病巣周囲にdysplasiaが高頻度にみられるため,内視鏡的切除範囲診断が困難である,また線維化が強いために内視鏡治療手技自体(ESD)の難易度が高い(切除断端陽性になりやすく合併症を生じやすい),などが挙げられる.これらの問題に関して,本邦のトップリーダーの先生方から珠玉の論文(データと考察)をいただいた.
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