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編集後記
斉藤 裕輔
pp.1730
発行日 2006年11月25日
Published Date 2006/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104336
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本号は「小腸疾患診療の新たな展開」と題して特集した.これまでのカプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡の適応や技術的側面に比重を置いた特集から一歩進んで,今後の小腸疾患概念を再構築するうえでの両内視鏡検査を中心に小腸病変に対する各種検査法の役割,使い分けについて,三井,眞部,矢野論文で多くの症例を呈示しながら解説された.長坂,大宮論文ではCrohn病の診断治療における小腸内視鏡の役割と有用性が述べられた.また,新しい検査法であるCT enterographyの有用性についても岩田論文で述べられた.さらに松本論文では異同が議論されていた非特異性多発性小腸潰瘍症とNSAIDs潰瘍について小腸内視鏡を用いた詳細な検討がなされ,画像的に異なった疾患であることが報告された.本特集号において,大変多くの小腸疾患の内視鏡像が提示されたほか,さらに今後,急速に進むことが予測される小腸疾患概念の再構築,整理という臨床研究の分野において,内視鏡検査が必要不可欠であることが再確認された.近い将来,小腸疾患の再構築による疾患概念の完成のほか,「主題研究」の長浜論文で詳細に述べられた里吉病のような,全く新しい小腸疾患が発見されることも期待する.
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