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編集後記
斉藤 裕輔
pp.1554
発行日 2007年9月25日
Published Date 2007/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101205
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本号は「大腸腫瘍内視鏡切除後のサーベイランスに向けて」というテーマでお届けした.
大腸腫瘍に対する内視鏡切除の適応拡大と切除件数の増加により,内視鏡切除後follow upのあり方が問題となっている.組織型・深達度別に効率的なfollow up法を明らかにすることを目的に企画された.田中論文では特にSM癌を中心に内視鏡切除の臨床的,病理組織学的根治基準について詳細に解説され,味岡論文ではこの病理診断におけるSM浸潤距離計測上の問題点が提起された.腺腫,M癌,SM癌のそれぞれに対する適切なサーベイランスプログラム構築に向けて,久部論文では小さな腺腫の長期経過観察結果から,これらでは5年後の経過観察で対処可能であることが示された.若村論文ではM癌については分割切除も容認され,3か月後の再検が重要であることが示された.浦上論文,東野論文ではSM癌について低リスク,高リスク群における局所,遠隔再発早期発見のための具体的なfollow up法が示された.座談会ではこれらの問題点がまとめて論じられている.また,佐野論文では現在研究継続中のJapan Polyp Studyの研究方法決定のための基礎的データが示され,2011年に本研究結果が公開され,表面型病変も含めた日本独自のサーベイランスプログラムが構築されることを期待している.
本号が明日からの大腸腫瘍切除後の日常診療に十分役立つものと確信している.
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