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編集後記
斉藤 裕輔
pp.848
発行日 2004年4月25日
Published Date 2004/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104255
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本号はsm浸潤癌の良い指標とされ,通常内視鏡に比較して拡大内視鏡観察で最も有用性が高いとされるV型pit pattern診断について特集した.V型pit pattern診断基準の統一がみられ,読者もpit patternについてかなり理解しやすくなったとはいえ,本号の内容自体,かなり専門的で理解しにくい面もあったことが危惧される.操作性の向上により,近年の拡大内視鏡使用台数が増えたとはいえ,一般の実地医家にとっては一定時間内に一件でも多くの検査を行う必要があり,きちんと染色して拡大観察を行っている余裕がない点も依然として現実的な問題である.また,近年の内視鏡機器の著しい進歩により,以前は拡大内視鏡でしか観察不可能であった表面構造が通常の近接像でも観察が可能となってきており,新たな視点で通常内視鏡の診断限界を明らかにしたうえで,拡大内視鏡の有用性について議論する必要があると思われる.とはいえ,隆起型癌の深達度診断をどのようにするか,低異型度癌と高異型度癌の組織異型度の鑑別をどのようにするか,潰瘍性大腸炎合併癌やdysplasiaをどのように早期診断するか等,今後,拡大内視鏡に期待される役割はますます大きくなると思われ,その意味でも,統一pit pattern分類について熟知しておくことは臨床研究のみでなく実地医療を行う上でもさらに重要となることが考えられる.
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