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編集後記
斉藤 裕輔
pp.1060
発行日 2003年6月25日
Published Date 2003/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104233
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消化管の炎症性疾患診断におけるX線検査の役割が低くみられつつある中,その有用性について企画した.小腸,大腸の炎症性疾患におけるX線検査の有用性については十分呈示・証明されるものと期待はしていたが,食道や胃の炎症性疾患においてもX線検査の併用が有用・必要なことが再認識できたことは筆者にとってもうれしい限りである.特に小林広幸論文では胃びまん性疾患の鑑別診断にX線検査が不可欠であることが具体的症例の呈示と共に見事に展開されている.また,大腸・小腸の炎症性疾患診断においては予想どおりの有用性が豊富な症例と共に示され,さらに八尾論文では小腸造影における具体的手技について詳細な解説がなされており,本号は消化管炎症性疾患のX線アトラスとも呼ぶべき内容に仕上がっている.本号で呈示されている写真を目標にして,X線検査の低侵襲性,簡便性,外観撮影としての有用性を生かして若い先生方にもぜひ,造影検査にトライして頂きたいものである.はじめはうまく撮影できないこともあるとは思うが,くじけずにX線検査を続けて頂きたい.慣れてくるとX線検査の情報量の多さに気づくとともに,診断能力も格段に向上するであろう.情報量の多い美しい写真が撮影できたときの内視鏡検査を遙かにしのぐ感動を若手医師にもぜひ味わって頂きたい.
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