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編集後記
斉藤 裕輔
pp.1452
発行日 2005年9月25日
Published Date 2005/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104293
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本号は難治性潰瘍性大腸炎の診断と治療の新知見について特集した.潰瘍性大腸炎の患者の増加に伴い,再燃時に治療に抵抗性のいわゆる難治例の割合も増加し,その診断や治療法について日常臨床上,読者を悩ます病態の一つとなっている.桜庭論文では難治性潰瘍性大腸炎についての総論的な診断および治療法の解説が述べられた.診断面では村野論文において難治例における正確な内視鏡検査診断および難治化の予測に有用な内視鏡所見が述べられるとともに,眞部論文では難治性潰瘍性大腸炎の診断および治療効果の判定に低侵襲の体外式超音波診断の有用性が新たに示された.また,和田論文,池田論文では難治例におけるcytomegalovirus感染の重要性,診断および治療法が示された.さらに,難治例に対する免疫抑制剤(安藤論文)や白血球除去療法(蘆田論文)などの具体的治療法についても解説された.術後患者のmanagementにおいて大きな問題となる回腸囊炎(pouchitis)についての診断と治療についても福島論文で解説された.さらに研究段階ではあるが,拡大内視鏡(筆者論文)やnarrow band imaging(NBI)(松本論文)を用いた難治化の予測についても呈示され,本号はまさに“難治性潰瘍性大腸炎診断・治療マニュアル”となっている.本号を参考に,今後さらに増加する難治性潰瘍性大腸炎患者の診療に役立てていただければ幸いである.
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