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編集後記
斉藤 裕輔
pp.1940
発行日 2007年12月25日
Published Date 2007/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101251
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本号は「新しい治療による炎症性腸疾患(IBD)の経過―粘膜治癒を中心に」というテーマでお届けした.
近年,IBDに対する新しい治療法の登場により臨床的緩解のほかに粘膜治癒(MH)の重要性が報告されるようになった.主にCrohn病(CD)に対するinfliximab(IFX)投与,潰瘍性大腸炎(UC)に対する免疫抑制療法によりMHが得られる可能性があり,日本における最新の成績が示された.平田論文ではCDにおける難治化の要因とstep-upとtop-down治療の世界的趨勢について文献的に考察された.松本論文と本谷論文ではCDに対するIFXの治療成績が示され,IFXの維持療法がMHにおいて重要であることが示された.平井論文,小林論文では多数の長期経過例の詳細な分析から,CDにおける画像における予後予測因子が明らかとなり,今後の治療法の選択に有用と考えられた.鈴木論文ではUCに対するCyclosporine-Aの,また上野論文では6-MPの使用による治療効果が提示され,免疫抑制剤のMHに対する有用性が示された.大西論文では重症UCに対する血球除去療法の成績が示され,今後の重点治療などの必要性が述べられた.藤谷論文ではUCにおける易再発性がMHに依存することが拡大内視鏡的にも示された.田中論文,池田論文ではUC,CDの難治化を予測する病理学的所見,特徴について述べられた.本号はIBD診断・治療の日本における最先端が盛り込まれており,日本における今後のIBD治療の新展開に十分貢献する1冊になるものと確信している.
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