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拡大内視鏡の研究開発は1960年代後半から始まっており,多くの先人がさまざまな研究を行っているが,実際の臨床の場で生体内で拡大内視鏡観察が可能になったのは工藤らとオリンパス社により開発され,1993年に発売されたズーム式拡大電子内視鏡CF-200Zが汎用機として市場に登場してからである.当時のこの内視鏡は,ズームレバーも扱いにくく,また内視鏡の先端硬性部が太くて長く,初心者には挿入を含めてやや扱い難い内視鏡であった.その後,拡大内視鏡は飛躍的に改良が進み,現在では,先端硬性部の太さや長さは拡大機能のついていない内視鏡とほぼ同じになり,挿入性や操作性に全く相違を感じなくなっている.このような状況で,汎用機で拡大機能を搭載していない内視鏡を製作販売する意味はなくなっている.現在では,オリンパス社のみでなく,富士フイルム社,ペンタックス社(現在はHOYA社)など各内視鏡メーカーから拡大電子内視鏡が販売されている.さらに,NBI(narrow band imaging)やBLI(blue laser imaging)などの画像強調内視鏡(image enhancement endoscopy ; IEE)による拡大観察が保険適用になっており,現在の内視鏡診断において拡大観察は標準的な診断手法となっている(Fig.1)1).
大腸拡大内視鏡観察の原点はpit pattern診断である.実態顕微鏡所見の分析によって確立された工藤分類2)が,1993年以降実地臨床でリアルタイムに診断できるようになったときの感激は今でも懐かしい.その後,工藤分類と鶴田分類3)のV型pit pattern細分類の呼称が統一され4),現在のpit pattern分類は“工藤・鶴田分類”と呼称される5).当時,分類の箱は統一されたが,VN型pit patternやVI型pit patternの診断基準が各施設で異なっておりやや混乱していた.そのことに関しては,工藤班班会議(班長:工藤進英先生)や箱根コンセンサスミーティングにおいて統一見解を得て,現在に至っている6).
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