Japanese
English
今月の主題 胃腫瘍の拡大内視鏡診断
序説
拡大内視鏡で何を見ているのか
Introduction
榊 信廣
1
Nobuhiro Sakaki
1
1東京都立府中療育センター
キーワード:
拡大内視鏡
,
胃小窩
,
画像強調観察
Keyword:
拡大内視鏡
,
胃小窩
,
画像強調観察
pp.821-823
発行日 2011年5月25日
Published Date 2011/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102248
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今から30年以上も前,1977年のことである.当時,山口大学の教授に着任されたばかりの竹本忠良先生に胃の拡大内視鏡観察の仕事をするように命じられて,試作高拡大ファイバースコープFGS-MLII(町田製作所)を手にした.午前中は内視鏡検査,午後は生検標本の実体顕微鏡観察,夜は病理標本の作製と鏡検という悪戦苦闘の日々が続いた.そんなある日,点状の胃小窩が,短い溝状になり,そして連続した溝の縞状模様へ連続して移行していく画像が明確にとらえられた(Fig. 1).このような連続する胃小窩の形態変化を慢性胃炎との関係で検討し1),現在ABCD分類として引用されている胃粘膜微細模様の拡大内視鏡分類2)を作った.
拡大ファイバースコープで得られた画像は通常内視鏡所見とは全く異なっていた.当時は未開拓の分野であった高拡大画像に魅せられ,すっかり舞い上がってしまった.拡大内視鏡画面では白っぽく写っている胃小窩の形状は様々であるが,整理すると点状と線状の陥凹部分の集合にすぎなかった.従来のアナログ診断ではなく,点と線だけで表示される当時流行していた“デジタル”診断ができると考えた.そして,コンピュータ診断まで夢想した.
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