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編集後記
小山 恒男
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1佐久医療センター内視鏡内科
pp.1411
発行日 2018年9月25日
Published Date 2018/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201487
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日本食道学会分類(JES classification)は2011年に原案が完成し,prospective studyを経て,2017年に「Esophagus誌」にpublishされた.JES classificationでは,まず乳頭内血管ループ(intra-epithelial papillary capillary loop ; IPCL)に注目した.初期の扁平上皮癌(squamous cell carcinoma ; SCC)は基底膜を破壊せず,既存の乳頭構造を置換性に発育する.この結果,拡大内視鏡で観察すると,不整ながらループを保った異常血管が観察される(JES B1).しかし,深部へ浸潤すると乳頭様構造は破壊され,loopを呈さない新生血管(腫瘍血管)JES B2,B3が出現する.JES classificationは単なる血管パターン分類ではなく,血管構造を読み解くことで癌の進行過程を推察しうる,優れた分類であり国内外で広く使われるようになった.
その一方で,“JES B2はT1a-LPMからT1b-SM2まで幅広く出現する”,“JES B2はびらんや炎症でもみられる”,“JES B3やAVA-Lは頻度が低いため,T1b-SM2の感度が低い”など,残された問題点が指摘されてきた.そこで本号では,JES classificationを再検証するとともに,近年解明された新たな拡大内視鏡所見を検討することにした.
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