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2014年に日本消化器病学会から発刊された「大腸ポリープ診療ガイドライン」において,“大きさ6mm以上の腫瘍性病変は積極的な内視鏡的摘除が推奨され,平坦・陥凹型病変は大きさにかかわらず積極的な内視鏡的摘除が推奨されている.また,隆起型の微小腺腫に対しては経過観察も容認される”となっている.一方,欧米では,前癌病変の腺腫をすべて摘除することで大腸癌死亡率低下効果があることを根拠に,微小腺腫を含め,すべての腫瘍を内視鏡的に切除しクリーンコロンを目指している.ただ,微小腺腫の多くが癌にまで進展しないことも事実である.個人的には,米国のNational Polyp Studyの結果が示すことは,クリーンコロンにすることで大腸癌死亡率が低下したというよりは,大腸内視鏡検査によってadvanced lesionを摘除したことが大腸癌死亡率の低下に寄与したと考えるべきだと思う.
近年,小さな良性大腸腫瘍に対して,摘除時に通電を行わないCFP(cold forceps polypectomy)やCSP(cold snare polypectomy)が本邦でも積極的に行われはじめ,CFP/CSPによってクリーンコロンを目指す先生が増えている.CFPは専用鉗子にて機械的に病変を摘除する手技であり,CSPは病変をスネアで絞扼し,通電することなく切除する手技で,高周波電源装置,対極板や局注液,さらには入院設備がなくても実施可能である.加えて,本号でも詳述されているように,hot biopsyやEMR(endoscopic mucosal resection)などの通電を伴う方法とは異なり,burn effectによる遅発性出血・穿孔などの偶発症のリスクが低い.一方で,病変の遺残・再発が問題視されており,Jumbo biopsy鉗子を用いたCFPの前向き試験報告では,径3mm以下の病変に対し,径4mm以上の病変では完全摘除率が低下している.また,CFP/CSPでは回収標本の熱変性はないものの,物理的挫滅が多いこと,粘膜下層が十分に切除できないなど,摘除標本の病理診断上の問題点も指摘されている.遺残・再発や摘除標本のqualityは実際のCFP/CSPの熟練度や技術レベルの影響も大きい.再発や長期予後についてはまだ報告が少ない.
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