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斉藤裕輔先生,長南明道先生と3人で本号「消化管EUS診断の現状と新たな展開」の企画を担当した.最近,EUSに関する企画が組まれていないことだけが本企画の理由ではない.ESDが一般化し,消化管癌の内視鏡的摘除手技の守備範囲が拡がり,さらにその適応も拡大されてきている.そこで,従来と異なる深達度診断目標がEUSに期待されているという現状,そして,EUS-FNAが保険適用になり,日常臨床に導入されたことなど,EUSに求められる新たな話題が出現していることが主たる理由である.このような背景のもと,執筆依頼に以下の“企画のねらい”を添付して執筆されたのが本号である.
『1980年にわが国で膵癌の早期発見を目的として開発されたEUSは,相部らによる胃壁5層構造の発見を契機に胃癌の深達度診断へ応用され,大腸,食道へと拡がっていった.その後,細径プローブ,3D-EUS,FNAB,電子ラジアルEUSなどが開発され,EUSは進化し,応用範囲も拡がってきている.一方,本誌においては,「早期胃癌のEUS診断(1999,34巻9号)」,「早期大腸癌の深達度診断にEUSと拡大内視鏡は必要か(2001,36巻6号)」と2回EUSの特集が組まれているが,いずれも胃あるいは大腸早期癌に限定したものであり,ここ10年間企画として取りあげられていない.そこで今回,改めて消化管におけるEUS診断を取りあげ,(1) 消化管早期癌における適応・治療法選択における深達度診断,(2) 非上皮性腫瘍の診断,および (3) FNABの現状についてまとめたい.また,今後の新たな展開として,消化管早期癌に対する完全摘除生検(EMR/ESD)における術前診断としての意義についても述べたい.さらに診断が困難とされる病変の描出・診断のコツについてワンポイントで解説していただき,明日からの診療の即戦力としても役立つ内容としたい』
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