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編集後記
田中 信治
pp.416
発行日 2006年3月25日
Published Date 2006/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104318
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腸管原発悪性リンパ腫に関する最新の知見の整理を目的に本号は企画された.悪性リンパ腫の組織分類には多くのものがあり,非専門家には理解しづらい面もあるが,本号では組織分類の歴史的変遷を含めてわかりやすく解説されている.また,小腸・大腸における多数症例の集積の成果により,多くの美しい症例画像が呈示され,形態学的特徴と病理組織学的特徴,さらに治療や臨床経過との対比が詳細になされていることが素晴らしい.形態学的特徴のみならず,分子生物学的特徴の知見も詳しく解説されている.
本号では,症例報告も含めて腸管悪性リンパ腫の治療と臨床経過に関する新知見が盛り沢山である.CHOP療法,rituximab,放射線療法などの非外科的治療が外科的切除にとって代わる可能性があるほど有効であること,また,腸管MALTリンパ腫に抗生剤の投与やHelicobacter pylori除菌療法が有効であることなどが,美しい画像によって示されている.NK/T細胞リンパ腫の症状がenteropathy(腸炎症状,蛋白漏出性胃腸症,吸収不良症候群)であることも特徴的な所見である.
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