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編集後記
田中 信治
pp.250
発行日 2004年2月25日
Published Date 2004/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104249
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Crohn病に対する新しい治療の位置づけについて,形態診断学の進んでいる本邦でしかできない,“臨床経過が追えた症例で形態学的な側面から解析する"という企画が組まれ,座談会を含め非常に読みごたえのある特集号ができあがった.
まず,笹田らによる文献 reviewで概略が示され,小林らが栄養療法が薬物療法よりも腸管外合併症進展阻止や外科手術回避に対して有用であるというデータを示している.患者の食生活などのQOLをどこまで考慮するかで栄養療法に関しては様々な考え方があるが,病態に応じて積極的に行うべき治療法であろう.次に,最近保険適応に通った抗TNF-α抗体(infliximab)の臨床成績が示され,その効果について,中野らは縦走潰瘍治癒過程で腸管の狭細化・短縮があまり顕著でない特徴を示し,松本らは臨床的活動性のみならず活動性病変や内瘻に有効であるもののその効果が短期間にとどまることを画像所見を示しながら詳しく解説している.また,岩男らは免疫抑制剤の臨床効果と安全性について述べ,松井らは白血球除去療法が小腸病変には有効性が低いが大腸病変には有効性が高いことを示し,Crohn病に対する白血球除去療法の選択基準を示した.さらに,長谷川らによって,Crohn病に対する腹腔鏡下手術の成績も述べられている.
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