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暗黒大陸と称されていた小腸領域の臨床は,山本博徳先生のダブルバルーン内視鏡の開発普及によって展開し,カプセル内視鏡が臨床導入されてからは,従来の小腸造影検査とともに3大モダリティーとして日常的に用いられ,小腸疾患の診断と治療や病態解明に大きな役割を演じている.その間に,症例の集積はもとより機器の改良・発展もみられ,また小腸の診断・治療・病態学は学会でも主題として大きく取り上げられ,活発な議論が行われている.このような背景をもとに,「カプセル内視鏡の現状と展望」と題した特集号を企画した.その企画のねらいは以下のごとくであった.
「2000年にカプセル内視鏡(CE)が発表されて以来,CEは小腸疾患に対し目覚ましい診療実績を残してきた.特に小腸出血に対してはほぼ必須の検査法とみなされている.一方,本邦ではバルーン内視鏡もほぼ同時に開発され,小腸疾患の診断と治療に広く用いられたため,CEを用いた診療は欧米よりも遅れをとっているのが現状である.CEが有用な疾患としてOGIB,小腸腫瘍,小腸潰瘍などが挙げられる.さらにその他の疾患に対しても有用性が示されはじめている.しかし,その診断精度と読影方法についてはいまだ確立されていない.一方,機器の開発は目覚ましくCE画像自体も飛躍的に向上した.さらには,技術面においてパテンシーCE,画像強調CE,大腸CE,自走式CEなどが注目されている.本邦では,保険適用のないCrohn病の小腸病変の診断において,今後パテンシーCEにより展望が開けるであろう.大腸CEも現在治験が本邦で進行中である.本誌では,過去にバルーン内視鏡を用いた小腸疾患の診断と治療に関する特集は組まれているが,CE画像を中心とした企画はまだない.そこで本特集号では,症例提示を中心にCEの現状を評価し,今後の展望も議論したい.」
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