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編集後記
田中 信治
pp.1564
発行日 2000年11月25日
Published Date 2000/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104922
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内視鏡機器が進歩し,高画素電子大腸内視鏡が日常診療のルーチン機器となり,また拡大観察すらルーチン検査の延長線上で容易に施行可能となり,極めて微細な所見まで瞬時に得られるようになった.このような中,得られた多くの情報から,大腸腫瘍の組織発生や発育進展を考慮したいくつかの新しい分類が提唱されている.しかし,実際には,これらの分類は“組織発生や発育進展に関する分類”のはずなのに,いわゆる“肉眼分類”と混同され使用されているきらいがある.また,大腸腫瘍の形態分類を単純化する目的で,①ポリープ型,②表面隆起型,③表面陥凹型の3群に大きく分類しようという動きもあるが,座談会で論じられているように陥凹型腫瘍の反応性辺縁隆起を無視することは現時点では問題ありと一掃された.本号で胃癌肉眼分類の歴史も踏まえて述べられているように,臓器特性は多少あるものの,早期大腸癌の“肉眼分類”は食道癌・胃癌と同じように凹凸から得られる見た目の形態で単純に規定されるべきであり,こうすれば専門外の人にも容易に理解できる基本的な分類になりうるものと考えられる.もちろん,“組織発生や発育進展に関する分類”が大腸腫瘍の病態を考えるうえで重要であり,内視鏡的治療の適応決定や大腸癌の臨床研究の発展に寄与することは確かであり,これらについては“肉眼分類”とは全く別の土俵で(例えば“発育進展分類”として)今後も大いに議論され,その妥当性と臨床的意義が明らかにされるべきであろう.
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