Japanese
English
今月の主題 知っておきたいまれな大腸良性疾患
序説
知っておきたいまれな大腸良性疾患
Introduction
斉藤 裕輔
1
Yusuke Saito
1
1市立旭川病院消化器病センター
キーワード:
大腸良性疾患
,
まれな大腸良性疾患
,
大腸腫瘍様病変
,
大腸炎症性疾患
Keyword:
大腸良性疾患
,
まれな大腸良性疾患
,
大腸腫瘍様病変
,
大腸炎症性疾患
pp.759-760
発行日 2017年5月25日
Published Date 2017/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201077
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大腸の良性疾患は腫瘍性(様)病変,広義の炎症性疾患(感染性,薬剤性,血管性,遺伝性,特発性など),機能性疾患など多様である(Table 1)1).良性疾患のみでもこれだけ多様な疾患が存在するため,すべてを記憶することは困難であろう.
胃とは異なり,大腸においては背景粘膜が一様であるため,日常的に経験する一般的な初発の良性疾患の診断は比較的容易である.一方で,前述した病気の多様性のほかに,大腸の良性疾患の診断を困難にする要素として,直腸粘膜脱症候群,collagenous colitis,腸管スピロヘータ感染症,特発性腸間膜静脈硬化症など,時代とともに新たな疾患が発見され,疾患概念が確立されてきたことが挙げられる.これら病変においてはたとえ典型的な所見を呈していても,疾患そのものの知識がなければ診断は困難となる2).さらに,初期病変(Crohn病におけるアフタや潰瘍性大腸炎におけるリンパ濾胞性直腸炎など)や感染(潰瘍性大腸炎におけるサイトメガロウイルス感染に伴う下掘れ潰瘍など)・虚血性変化の合併(潰瘍性大腸炎における縦走潰瘍),術後の腸管(Crohn病の吻合部に生じる輪状潰瘍など),内科治療後にみられる非定型的病変など,修飾要素も加わるため,たとえ典型的な病変であっても大腸良性疾患の診断は一層困難となる3).さらには,いまだ疾患概念の確立していない原因不明の良性疾患も存在する2)ため,大腸疾患の診断はますます複雑で難解となる.ましてや,“まれな”大腸良性疾患の診断ともなると,半ばあきらめ気味,または拒否反応を示してしまう読者も多いことが危惧される.
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