Japanese
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今月の主題 早期大腸癌内視鏡治療後の中・長期経過
序説
内視鏡的摘除された早期大腸癌の予後
Introduction
田中 信治
1
Shinji Tanaka
1
1広島大学大学院医歯薬保健学研究科内視鏡医学
キーワード:
大腸SM癌
,
大腸T1癌
,
内視鏡治療
,
ESD
,
EMR
,
予後
Keyword:
大腸SM癌
,
大腸T1癌
,
内視鏡治療
,
ESD
,
EMR
,
予後
pp.373-376
発行日 2015年4月25日
Published Date 2015/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200201
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早期大腸癌において,粘膜内癌(Tis癌)は転移しないため局所の完全摘除で根治可能であるし,内視鏡治療後に局所遺残再発が生じても一般的に追加内視鏡治療で根治可能である.したがって,その予後は極めて良好である1)2).また,臨床の場では,局所遺残再発の確認のみならず,異時性多発病変の診断のためにもサーベイランス内視鏡検査は重要である.
米国では,National Polyp Study3)の結果により,大腸腺腫性ポリープを内視鏡的にすべて摘除した場合,その後のサーベイランス内視鏡検査は3年後が推奨された.欧州ガイドライン4)および米国ガイドライン改訂版5)では,全大腸内視鏡検査(total colonoscopy ; TCS)における腺腫性ポリープの個数と最大径,病理組織所見により,それぞれ推奨すべきサーベイランスTCS間隔が異なる.基本的に10mm以下の腺腫性ポリープ(軽度異型腺腫)が散在性に(欧州ガイドラインでは4個,米国ガイドラインでは9個まで)認められ,内視鏡的に摘除された場合には,一律3年後のサーベイランスTCS が推奨されている.さらに,それらが2個までの場合には,欧州ガイドラインでは年齢や家族歴を考慮したうえで通常の便潜血などのスクリーニングを,米国guideline では5〜10年後のサーベイランスTCSが推奨されている.その他,腺腫性ポリープが多数認められる場合やひとつでもhigh-grade dysplasia(本邦のTis癌)が認められた場合など,初回のTCS 所見によって詳細なリスク層別化がなされ,それぞれ推奨されるサーベイランスTCS間隔が定められている.
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