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編集後記
松本 主之
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1九州大学大学院医学研究院病態機能内科学
pp.771
発行日 2013年5月24日
Published Date 2013/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113824
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本邦における潰瘍性大腸炎(UC)とCrohn病(CD)の有病率は増加の一途をたどっており,「胃と腸」誌においても,炎症性腸疾患(IBD)の特集が企画される機会は多い.ただし,増刊号として取り上げられるのは1997年以来16年ぶりとなる.この間,松井論文に示されているように,IBDの病態解明や治療に大きな進歩がみられており,up-to-dateな内容を組み入れた本号は前回の増刊号とは全く異なったものとなっている.
桑原論文では個人調査票の解析結果が示され,人口10万人当たりUCは84.5,CDは26.3と極めて高い有病率が明らかとなった.一方,IBDの病因はいまだ明らかではないが,安藤論文では腸内細菌がその発生に重要であり,自然・獲得免疫の活性化に関与することが明示されている.また,浅野論文では,本邦IBD患者でも疾患感受性遺伝子に代表される遺伝的要因が明らかとなりつつことが示されている.腸内細菌叢や遺伝的背景の研究は,今後,治療標的の同定にも結びつく重要な領域であろう.
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