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編集後記
松本 主之
pp.1605
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403203764
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本増大号は炎症性腸疾患をテーマに企画された.実は,編集委員会のテーマ選択の段階において“炎症性腸疾患を取り上げること”の議論が繰り広げられた.その要因として,消化管専門医の間でさえこの領域に関する関心に個人差があるためではないか,と編集委員の皆さまのさまざまなご意見を拝聴しながら考えていた.ところが,担当編集委員が練りに練って作成した企画を検討する際はスムーズに議論が進んだ.すなわち,項目立てはほぼ企画案のまま採用され,執筆者の選定に若干の時間を要しただけで最終案が決定された.これは担当編集委員が作成した企画案が秀逸であったことが主たる原因と思われる.と同時に,炎症性腸疾患の診断と治療がわずか十数年の間に変貌し,多岐にわたる大変魅力的な企画となったことも忘れてはならない.
21世紀を迎えて20年以上経過し,炎症性腸疾患の臨床には新たな疾患概念と診断モダリティー,および新規治療法が次々と導入された.すなわち,分子生物学的解析に基づいた疾患分類,小腸内視鏡,MRIなどを用いた消化管病変の総合的評価,臨床バイオマーカー,そして生物学的製剤や低分子化合物などの新規薬剤が広く用いられるに至っている.一方,爆発的患者数の増加により,Crohn病と潰瘍性大腸炎の疫学や自然史も近年大きく変化している.すなわち,炎症性腸疾患の臨床におけるダイナミズムを知ることは,患者を診療する者として極めて重要と考えられる.
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