学会印象記
JDDW 2011(第19回日本消化器関連学会週間)―大腸領域,特に炎症性腸疾患に関する視点から
光山 慶一
1
1久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門
pp.1035-1036
発行日 2012年5月25日
Published Date 2012/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113504
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JDDW(Japan Digestive Disease Week)2011は10月20日(木)から23日(日)までの4日間,福岡国際センター・福岡サンパレス・福岡国際会議場・マリンメッセ福岡で開催された.前回のJDDWより日本消化器外科学会も加わり,以前にも増して活発な学会週間となった.勤務先の大学病院から会場までは車で片道30~40分程の近距離にあり,通常泊まりがけで学会に参加することの多い筆者らにとっては大変便利な会場設定であった.今回のJDDWは,業務の都合上2日目夕方からの参加となったが,それ以降で拝聴することのできた大腸,特に炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease ; IBD)についての発表を中心に報告する.
まず,2日目(21日)のサテライトシンポジウム10「これからの潰瘍性大腸炎治療とタクロリムスが果たす役割」では,渡辺守先生(東京医科歯科大学)と緒方晴彦先生(慶應義塾大学)の司会のもとで,5人の先生方によりタクロリムスの基礎研究から使用法・長期予後に至るまでの幅広い発表があった.大規模な比較試験はまだ実施されていないが,札幌厚生病院の本谷聡先生から,潰瘍性大腸炎に対する寛解導入効果は抗TNF-α抗体とタクロリムスとで同等であるという自施設でのデータが紹介された.一方で,タクロリムスの寛解維持効果のエビデンスは得られておらず,タクロリムスにより寛解導入が得られた後には別の維持治療が必要であることが報告された.
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