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2008年10月1日(水)から4日(土)まで,グランドプリンスホテル高輪,新高輪,国際館パミールでJDDW(Japan Digestive Disease Week)2008が開催された.10月1日は,第1回日本カプセル内視鏡研究会が坂本長逸先生(日本医科大学消化器内科)会長のもと目黒雅叙園にて開催され,筆者はそちらに演題発表もあったため,JDDWには2日目から出席した.
2日目のシンポジウム13「小腸疾患の内視鏡診断と治療」は,ダブルバルーン内視鏡の登場,シングルバルーン内視鏡の発売,そしてカプセル内視鏡の保険適応により,現在,小腸疾患に対する検査方法も増えてきたため,ますます興味深いテーマとなっていて,会場も盛況だった.今回発表されていた,イレウス時における原因検索は,以前から難しいことが多く,外科手術によって診断がつくことも多いが,ダブルバルーン内視鏡は,診断,治療の手助けに有効な手段かと思われる.ただ,侵襲性の大きな検査のため,必ず患者の状態や安全性も考慮して使用すべきである.カプセル内視鏡検査は,2007年10月から使用可能となったため,小腸内視鏡検査,小腸造影検査,腹部CT検査,血管造影検査なども合わせて,どのような疾患に,どのような時期に,費用も含めて,適切な検査を施行するかが重要であり,多く討論がなされた.ただ現時点では,すべての施設に同じ検査条件を求めることは難しく,可能な検査での診断,治療を優先すべきで,統一された見解は今後も検討される課題かと思われる.最後に,小腸出血は原因不明の消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding ; OGIB)と大きく分類されることが多いが,OGIBの中でも顕出性出血なのか非顕出性なのか分けて検討することが必要であり,そのうえでそれぞれの検査の特徴や有効性を評価していくことが重要である.
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