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前夜のドラゴンズセントラルリーグ制覇の興奮も覚めやらぬまま,2011年10月19日午後,空路福岡に入った.今回のJDDW(Japan Digestive Disease Week)は木曜日から日曜日までの4日間にわたり,消化器全般を網羅するようにぎっしりとプログラムが組まれていた.その一方で,今回から消化器病学会は演題数や日程の都合で一例報告はほとんど採用されなくなった.そのため研修医や若手医師などに発表の機会を与えるには,少し工夫が必要になってくると思われる.また,JDDWではいつも感じることであるが,受付時にいただける抄録集のCD-Rは現場での使い勝手が悪いため,欧米の学会のように事前にiPadやiPhoneに全プログラムがダウンロードできるように配慮していただけるとありがたい.あの重い抄録集を2冊も3冊も持ち歩かなくていいようにぜひ改善をお願いしたい.
さて,1日目は暑いほどの好天に恵まれ,既にどこの会場も多くの人々で混雑していた.ポスター会場のマリンメッセ福岡のアリーナは商業展示と同じフロアで広々としてにぎやかであったが,大変蒸し暑く,日頃スーツを着慣れていない私たちにとっては辛いものがあった.しかし,そんな状況をものともせず,ポスターの前には多くの先生たちが集まり活発な討論が行われてさらなる熱気に満ちていた.私の担当した胃の基礎研究のセッション「胃─基礎3」では,EGF受容体transactivationのメカニズムの解析やDNAメチル化と胃癌の発生や進展との関連など興味深い報告が多数あった.HP(Helicobacter pylori)菌感染により異常メチル化が誘発されることは既に知られているが,EBV(Epstein-Barr virus)感染胃粘膜においても高頻度にDNAメチル化異常が起きているとの報告や,DNAメチル化異常の網羅的解析による新規胃癌関連遺伝子の検索など,現時点では臨床応用にはまだハードルは高いと思われたが,今後の研究のさらなる進展が期待される発表であった.
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