胃と腸ノート
興味ある胃病変の病理解説(7)
下田 忠和
1
,
佐野 量造
1
1国立がんセンター病理部第1組織病理
pp.896
発行日 1975年7月25日
Published Date 1975/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112399
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前号で限局性肥厚性胃炎(Localized hypertrophic gastritis)について述べた.今回は本疾患と紛らわしい像を示す隆起性胃癌を供覧し,その鑑別点について述べる.
症例8 40歳 女(名大内科,中野浩氏例)
胃体部の後壁,幽門腺境界に接して粘膜ヒダが限局性に肥厚し,迂曲蛇行している.その表面は乳頭状または顆粒状を呈している,また,幽門部には急性ビラン,顆粒状変化(慢性胃炎性変化)および胃角上小彎に潰瘍瘢痕を認める(Fig. 1).組織学的にはこの肥大した粘膜は単純な体部腺の肥厚である.また,幽門側の粘膜は萎縮性変化を示している(Fig. 2).すなわち,本例は限局性肥厚性胃炎である.
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