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書評「消化器疾患のダイナミックCT診断」
打田 日出夫
1
1奈良県立医科大学
pp.167
発行日 1987年2月25日
Published Date 1987/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112206
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CTは消化器疾患の診断にとって非常に有用な検索法であることが定着し,CTなくしては医学の進歩に即応した診療が不可能になったと言っても過言ではない.しかし,CTも検査方法が不適切で,精度の低い診断で終われば,病変の拾い上げ診断のみでなく,質的診断と進展度診断における誤診の増加が危惧される.CTの特徴を最大限に発揮してCT診断の精度を高めるには,造影剤をいかに有効に使用して検査を行うかがポイントになり,ダイナミックCTの活用が必須である.
著者の竜崇正博士は,消化器の画像診断に情熱を持ち,特にCTに関する新しい知見を盛り込んだ研究を続けてきた新進気鋭の外科医である.本書は日常診療の中から得られたCTに関する臨床研究成果の集大成であると共に,消化器疾患CT診断の実際的な指針となる成書でもあり,著者の熱意が伝わってくる力作である.序文の中で“CTは消化器疾患において,一般的検査法として広く定着した感がある.しかし,CTの能力を十分生かした診断がなされているとは言えないのが現状である.単純CTのみでは診断上の限界があり,……ダイナミックスキャンの機能をよく理解し,目的に応じた造影剤の投与法を組み合わせることにより,CTの非侵襲性の特徴を生かした詳細な診断が可能になる”と述べられているが,本書の意図と特色を端的に表した言葉である.
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