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最近の画像診断の進歩は目覚ましく,特に超音波検査や,CT検査は患者に与える苦痛が極めて少ないにもかかわらず,得られる情報は極めて多いものとなっている.現在,CT検査は超音波検査と同様に,もはや通常の一般的な検査として,多くの施設においてルーチンに行われている.しかしその反面,CT像を正確に読影できる人はあまり多いとは言えない.むやみやたらにCT検査をしたとしても,その情報を的確に理解できなければ,全くむだな検査となってしまうことになる.残念ながら,これまでは実地医家にとって,すぐ役立つような実用的なCT検査の解説書はみられなかった.こんな折に日ごろ敬愛する千葉大学第2外科の竜崇正博士の著になる「消化器疾患のダイナミックCT診断」が刊行された.これは従来のCT検査の解説書とは異なり,豊富な自験例をもとに記述され,極めて明快な解説が加えられており,多くの写真あるいは美しいイラストを用いているため,容易に理解できるように工夫されている.しかも症例は消化器全般にわたって網羅されていて,更に1例,1例の症例が詳しく解説され,正確に理解できるようになっている.著者の竜崇正博士は有能な中堅外科医であり,外科医の立場からみた解説は実に明快である.病変の早期診断のみならず良性あるいは悪の鑑別,リンパ節転移の読み方,更には病変の進行度診断,そして外科切除の可・否,すなわち手術適応に至るまで解説が及んでおり,消化器疾患の診断から治療までが労せずして学べるようになっている.これらは,すべて著者の豊富な経験をもとに書かれているため,簡潔明瞭な文章と共に,極めて説得力のある解説となっている.CT検査によって,これほど多くの情報が得られることは驚くべきことであり,特に消化器外科を専攻している者にとっては,これまで,開腹して所見を得るまでは全くわからなかった腹腔内の所見がCT検査を行うことにより,手にとるように正確に理解できるようになることは,手術に臨む際の心構えもまた異なってくるものとなるであろう.このような意味からも中堅の消化器外科医はもちろんのこと,これから消化器外科医を目指す若い人たちにとってまさに必読の書と言えよう.
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