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書評「大腸の癌・ポリープのX線診断と病理」
陣内 伝之助
1
1近畿大学医学部付属病院
pp.1664
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112145
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本書を手にとってみて,今を去る十数年前,胃の早期癌が発見されはじめた頃,胃の微細な美しい粘膜像が放射線診断の先達たちの手によって示され,次々と微小な胃癌が発見された当時のことを感慨深く思い出す.胃癌の診断治療では,世界に卓越した成績を残しているにもかかわらず,わが国の大腸病変,とくに大腸癌の診断では欧米先進国に一歩遅れているような感じさえするのを,かねがね残念に思っていたのは私一人ではなかったであろう.
大腸の早期癌は胃癌のような扁平型や陥凹型は極めて稀で,大部分が隆起型とくにポリープ型である.ところが,このポリープ状病変を発見することは比較的容易であっても,このポリープが良性であるか悪性であるかを判別することは,極めて難問題である.
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