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書評「大腸ポリープ・ポリポーシス―臨床と病理」
吉田 豊
1
1弘前大学第1内科
pp.888
発行日 1993年8月25日
Published Date 1993/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106232
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武藤徹一郎教授がこのたび「大腸ポリープ・ポリポーシス―臨床と病理」という,まことに時宜を得た,内容の濃い専門書を出版した.同教授の同じ出版社からの「炎症性大腸疾患のスペクトル」(1986)の姉妹書ともなり,揃えて大腸疾患の座右の書としてお薦めしたい.
時宜を得たと言うのは,1992年厚生省が,大腸集検を老健法第3次計画に導入したが,この集検で発見される多数のポリープ(腺腫性ポリープ)の扱いなどで新たな問題が起こっており,本書がこれに答えるうえでも重要な役割を果たすと考えるからである.また,発見癌についても以前から論議を呼んでいる早期m癌の取り扱いがあり,その臨床的,病理学的意義については種々意見の多いところである.著者はこの辺のところを,初めの章で頁を多く割き,概念の説明から用語の使い方まで,わかりやすく述べており,大腸ポリープや大腸癌を診療する消化器医には是非一度読んでもらいたい内容である.
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