胃と腸ノート
胃潰瘍癌のレントゲン像(5)
安井 昭
1
1順天堂大学消化器外科
pp.854
発行日 1974年7月25日
Published Date 1974/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111944
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図1は症例2(Ⅱc)の背臥位二重造影像である.胃角上部小彎(矢印)を中心に扁平なNischeがある.その小彎線は硬く,周囲には潰瘍瘢痕を思わせる小隆起が存在する.また細い線としてあらわれている多数のチリメン状皺襞は扁平なNischeに向ってあつまっており,Ⅱcの輪廓をかたちづくっている.
図2は胃角を中心に描写した軽度第1斜位の背臥位二重造影像である.矢印の部にNischeがあり,その胃角付近の小彎線は浅い陥凹を示し,その部に向って多数の細くなった粘膜皺襞が四方から入り組んであつまっている.ここにあらわれているNischeは小さいが,まわりはかなりひろい範囲に不規則な陥凹を呈し,所々にぬけた像(透亮像),すなわち小さな隆起のあることを示している.この写真は切除胃の所見にかなり近い像をあらわしているがなに分にもSchummerungが強く,相当見にくく,条件としては悪い写真である(このような場合には通常比較的多量の造影剤をのませて背臥位でスピードのあるローリングをさせることによってSchummerungや気泡をとりのぞくことができる.
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